カントリーって、毎日の生活の中の少しのエッセンス、少しの贅沢だと思いませんか?
もしかしたら無くても良いものかもしれないけれど、いつもの暮らしに鮮やかな色彩を放つ・・・
高いor安い、大きいor小さいには関わらず、全てが大事なエッセンス!なんです。
海外のショップオーナーさんらにご協力いただく、生の海外カントリー情報は、皆さんにとって素敵なエッセンスになる情報がいっぱい。
暮らしがもっともっと鮮やかになることを願いながら・・・。。

眩しい光の照り返しに輝く海と、針葉樹の山々を背景にしたカナダ西海岸の街バンクーバー。澄みきった気持ちの良い青空が広がると美しさがいっそう引き立ちます。
この街に魅せられてバンクーバーで暮らし始めて早くも7年になろうとしている私、『インテリア雑貨Floral Living』 のMayuが楽しいカナディアンカントリーライフをご紹介させていただきます。生活を通して多くの人と出会い、ここで暮らす人々の心豊かな暮らしにいつしかとりこになってしまいました。今までのたくさんの素敵な出会いの中から今回は、カントリーサイドに住むクラフト作家ジュディさんをご紹介します。

* * *

 バンクーバーから高速道路を飛ばすこと約2時間。目の前には広大な牧草地が広がってきます。牛が気持ち良さそうに草を食べている風景が現れカウボーイハットにジーンズ姿がさまになるおじさんが牧場で馬の手入れをしている姿を目にします。季節に合わせてとうもろこし、ブルーベリー、いちご、パンプキンなどの看板が並び、採れたての野菜が道路際に並んでいるお店に立ち寄ると田舎ののんびりとした空気を肌に感じます。どこまでも続く緑の大地に点在する小さな町。ドライフラワーを作るカントリークラフト作家のジュディさんのお宅はのびのびとした穏やかなこの町にあります。 

ジュディさんとご主人のカールさんがこの町に越してきたのは14年前。だだっ広い2エーカーにもなる土地をまず耕すことから、二人の新しいライフストーリーは始まります。肥料を与え土地を肥やした後、花を植え、野菜をつくり、鶏や羊を飼うために小屋を建てたそうです。ジュディさんのお宅に到着すると、『I'm in the garden.』 と手作りされたトールペイントのサインが玄関に立っていることがしばしば。『ガーデンにいますっ♪』っていう印です。

家の裏につくられたガーデンの入り口に向かうと、羊やヤギが"メェ〜"と鳴きながら近寄ってきます。鶏がとことこ歩いていたり、猫がひなたぼっこしていたり、いつも楽しく賑やかにお出迎えしてくれます。動物たちが歩き回る姿は平和そのもの。羊たちと戯れていると日に焼けたジュディさんが仕事の手を休めて私たちの訪問に気がつくというのがパターンです。ジュディさんのご自慢は40種類にもなる花やハーブが植えられたガーデンと野菜畑。そのスケールの大きさは、"ガーデン"というより "お花畑"と呼んだほうが似合う気がします。スターチス、ラークスパー、ヒマワリ、ムギワラギク、アニスヒソップ、ヤロウ、ポピー、ラベンダー…などのたくさんの花が夏を通して咲いています。 

お花畑で咲いた花のほとんどは収穫され乾燥室で天井から吊るされてドライフラワーになります。毎年9月になると乾燥室の天井は色とりどりのドライフラワーでいっぱいになり、通称"アップサイドガーデン"と呼ばれます。天井を埋め尽くす花の海を見るたびに思わず息をのんでしまうほど。ここにある全ての花は自然のままの状態。"自然乾燥させて一番美しい自然の色をだしているの" とジュディさんが言うように、太陽の光をふんだんに浴び、力強い大地で生まれた花が持つ本来の優しい色合いが誰の目にも心にもやわらかく映り、ほんのりと運ばれる香りに癒されます。

 ジュディさんの花に注がれる愛情はドライフラワー作りにとどまらず、ドライフラワーを用いたカントリークラフト作りへと広がっていきます。リース、バードハウス、トピアリー、ブーケなどのフラワーアレンジにはジュディさんのナチュラルなセンスが光ります。周りが農家だということもありアレンジの土台には、古くなった農具や廃材のアンティークの窓枠が使われたりすることも。この素朴な土台はドライフラワーをあしらうとほのかな色を発し、たちまち息を吹き返します。

大空の下、新鮮な空気をたくさん吸って元気良く走り回る馬たちが使っていた蹄鉄は、"幸運を呼ぶ"と古くから言い伝えられてきました。その蹄鉄にドライフラワーを添えて出来上がった壁掛け『グットラックホースシュー』 は、幸せをもたらしてくれるだけでなく、ジュディさんの愛情がたくさん詰まった素敵な作品です。出来上がったたくさんの作品は雰囲気のあるアンティーク家具とともにさりげなくディスプレイされており、古いランプからこぼれるオレンジ色の暖かい明かりに包まれ、とても懐かしい心温まる空間が演出されています。 


家族で手を掛けるお花畑は、4月に温室で種まきを始め5月に畑に苗を植え替えます。6月頃から咲き始める花たちは9月の収穫まで絶えることがないそう。その間の水遣り、草むしりなどの手入れはたやすいものではありません。ガーデニングだなんて簡単に一言で言えるけれど、中途半端にはできないのでは?との問いに、ジュディさんは、"ガーデンにいるのが好きだから"と輝いた笑顔で返事をくれました。自分が愛情を持って育てた花が咲き誇り、ドライフラワーとなり多くの人と喜びを共有できることの幸せがジュディさんをガーデンへと誘うのでしょう。"好きだから"と率直に言えるジュディさんがとても魅力的でうらやましく思えます。

何でも簡単に手に入る都会の生活と違って田舎での暮らしは決して便利ではありませんが、自給自足でもあるように面倒でも自分の手で時間をかけて何かをつくるということは、その分心がこもります。この手作りのあたたかさは、時間に追われて日々の生活をかえりみない現代社会では、なかなか触れることができないものとなってしまいました。人は自然とうまく共存してこそ人間らしく生きていけるのだ、とジュディさんの暮らしをみて感じます。帰り際には、いつも採れたての野菜を袋一杯につめてくれるジュディさん。その袋と一緒にあたたかい心を家に持って帰る私です。

プロフィール

Mayu Higashi
インテリア雑貨Floral Livingのオーナー

「カナダの素敵な雑貨を紹介したい」「カナダの魅力を多くの人に伝えたい」という気持ちから
2001年6月に『インテリア雑貨 Floral Living』をオープン。
"花のある暮らし"をテーマにナチュラルなハンドメイドのオリジナルインテリア雑貨をカナダよりお届けします。
北米のクッキングレシピ、クラフトアイディア、海外生活についての楽しいエッセイもご紹介しています。

BACKHOME