今回、お庭を見せていただいたのは、ショップのディスプレイの仕事をされているSさん宅。和風のお庭だっ たところを、10年ほど前から、コツコツと手を入れ、ようやく思い描いていたお庭に近づいたといいます。
こだわりは「花の形と色」。センス良くまとめる花色の組み合わせのコツなどはあるのでしょうか。


 
 


一念発起して、庭の大改造。きっかけは外国のインテリア雑誌でした。

仕事柄、外国のインテリア雑誌がいつも身近にあったというSさん。ヨーロッパやアメリカのインテリア雑誌は、家の中だけでなく、お庭も含めた生活のトータルな提案や紹介がされています。Sさんがガーデニングに目覚めたのも、そんな雑誌に紹介されていたイギリスやフランスのお庭にあこがれたのがきっかけでした。と同時に、それまで植木屋さんでなければ、手入れの出来ない庭を自分の手を出来るようにと、一念発起。それからは朝4時ごろに起きて、一日中庭仕事に励んだといいます。

まず最初に手をつけたのは、和風の樹木を抜くこと。ドウダンツツジや柿など、次々に抜いていくと、風通し良く、明るくなり、草花が育ちやすい環境に変わってきました。「今思うと、あのときのエネルギーはすごかったですね。全部一人でやったのですから。そんな時期が6年くらい続きました」。小柄なSさんが、柿まで抜いてしまったという話に、ちょっとびっくり。当時のSさんの思いが伝わってくるエピソードです。


実際の庭を見ることで、自分の好きな庭のイメージが出来上がってきました。

お庭改造のさなか、友達を訪ねて、イギリスやフランスに行く機会がありました。イギリスでは主に個人邸に、フランスではあこがれだったジベルニーの「モネの庭」と、ガーデンを中心に巡りました。もともと大好きだったイギリスの庭は想像通りで、あくまでナチュラル。なのに、計算された植物の組み合わせは期待どおりでした。特にシルバーやグリーンのグラデーションの葉色の絶妙な組み合わせには心惹かれてしまったといいます。華やかさはないけれどふんわり優しく、目が休まる感じが印象的でした。もちろん、国内の素敵なお庭にも訪ねていきました。そんなガーデン巡りを重ね、Sさんのなかでは、徐々に思い描く自分の庭の景色が出来ていったのです。


お手本はイギリスのナチュラルガーデン

Sさんの植物選びの基準は「色と形」です。色は第一印象を決める大事な要素。「フランス風のはっきりした色使いも華やかなのですが、お手本はナチュラルな優しい印象のイギリスのようなガーデン」というSさん。赤でも紫がかったり、見方によっては黒に見えたりするボルドーとか、微妙な中間色が大好きで、見たことのない色を見かけると心惹かれてしまいます。"基準"とはいっても、決め事があるのではなく、自分の好きな色であることが大切といいます。そして、さらにこだわっているのは色のバランス。同じ色や中間色ばかりでは、メリハリに欠け、単調なものになってしまいます。白バラの中にあえて、モーブ系の赤を入れたり、緑の葉の中にフイリの葉を入れたり、銅葉を入れたりすることで、変化をつけるようにしています。


私の庭は、見せる庭ではなくて、育てる庭

今では、ほぼ思い描く自分好みの庭に落ち着いてきたというSさんですが、この間に植物の見方が変わってきました。「最初は、すでに咲いている花を買ってきては植えていたのですが、小さな苗を育てるのが楽しみになってきましたね」。ガーデニングを始めたころは、その季節になってから、季節の花を植えることを繰り返していたのですが、一度植えると季節、季節で花開いてくれる宿根草や球根中心に、徐々に変わってきたといいます。1年、2年という植物のサイクルにあわせて待つことで、理想のナチュラルガーデンに近づいてきたのです。



庭の奥のブルーグレーの建物は作業道具をしまっておく小屋
アンティーク風のワイヤーかごには、ワイヤープランツがお似合い。
エリゲロン、ヘビイチゴの自然に混じり合っています。黒いコクリュウが引き締め役。 小花をちりばめて・・・アイアンがポイントに
赤にも紫にも見える紫玉(しぎょく)
白い小花noオンファロデスが引き立て役?チョコレートコスモス。
微妙な中間色のビオラ。後ろの大型コンテナには、こぼれんばかりのタイム。
春霞、白のつるバラ“サマースノー”の枝代わり
白い壁に絡んだクリーム色とピンクのバラの組み合わせが可愛い。手前には、まだ色づく前のブルーベリー

庭の環境を知ることも大切な要素

Sさんの庭は坂の途中にあり、傾斜を利用した場所にツル薔薇を植え、その根元に草花を植えています。庭に入るにはちいさな階段を上がります。高い場所にあるので、植物の生育にとっての風通しは申し分ありません。でも、通風がよい分、乾燥しやすいといいます。「特に夏の水遣りは大変なんです」。一般に地植えの植物は、自然の雨水だけで大丈夫といわれていますが、Sさんの庭は乾燥気味で、たっぷり与えないと植物がだめになってしまうのだそうです。「水遣りのタイミングや量も、色々やってみてわかったこと。条件は庭ごとに、それぞれ違いますからね」。夏は長期の旅行は避けているというSさん。植物をうまく育てるには、自分の庭の環境を知り、それに合わせた手入れが必要なのですね。

今年の夏はブルーベリーの実もたくさん収穫でき、毎日摘んでは冷凍し、ジャムが10瓶くらいできました。Sさんにとって、お庭のサイクルは、自然に生活のサイクルの一部になっているようです。



好きな仕事を続けながら、夢中になれる趣味を楽しんでいるSさん。女性としては理想的な生き方です。
うらやましいとばかり言っていられませんね。私もがんばらなくっちゃ・・・あくまで自然体で・・・ネ。



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