|
 
国王ルイ16世と王妃マリーアントワネットのきらびやかな王朝時代
アルザス地方の*1リクヴィールという村でのお話

リクヴィールという村に、りんご園を営むある一軒の可愛い小さな家がありました。
その可愛い小さな家にはキャメルという少女と、おばあさんが住んでいました。
キャメルはとても愛嬌のある女の子で、村の人びとに可愛がられていました。
季節は秋
畑は黄金色に輝いて、村はとても美しい景色が広がる季節になりました。
村のあちこちにあるりんご園でも、真っ赤なりんごがたわわに実ってとても甘い香りが漂っていました。キャメルとおばあさんのりんご園も今年は沢山のりんごが実りました。
さあ今日はお天気もいいしりんごの収穫日より、キャメルとおばあさんは大きなかごを二人で持つと、家から近い小高い丘の上にあるりんご園まで歩いていきました。
そしてたわわに実ったりんごの木の下に大きなかごを置くと、おばあさんはりんごの木に掛けてあるはしごを上ってりんごに手を差しのべました。
「おばあちゃん、そのりんごお酒にするんでしょ?おいしいの?」とキャメルはおばあさんに尋ねました。「そうだね今年のりんごは色艶がいいから、いいりんご酒になるよ。キャメルももう少し大人になったら、りんご酒の味が分かるようになるだろうよ」と言いながら、おばあさんはポケットからハサミを取り出してりんごの茎を切るとそのりんごをキャメルに手渡しました。キャメルはそっと手のひらをそえて優しくりんごを受け取りました。そうやっては沢山のりんごをかごにそっと入れたのでした。
そうしている内にもう辺りは薄暗くなっていました。ふと丘の下の方を見下ろすと、黄金色の麦畑を夕日が優しく包んでいました。静かな村の景色の中に雲雀が元気よく空を飛んで鳴いています。
キャメルとおばあさんは、丘の上から黄金色の麦畑を眺めながら、穏やかで幸せな気持ちに包まれるのでした。だって黄金色の麦畑は、パンやお菓子になる大切な食べ物なのですから。
「神様、今年も生きる力をお与え下さってありがとうございます」とおばあさんは手を合わせて祈っていました。それを見てキャメルも麦畑の方へ手を合わせて祈ったのでした。
それからキャメルはおばあさんと一緒に、真っ赤なりんごが沢山入った大きなかごを持ち上げると、丘の小道を降りていきました。そして家に着くと、家の外にある*2地下室へ降りてかごをおろしました。
「おばあちゃん、このりんごでアップルパイを作りましょうよ。私も手伝うわ」とキャメルは言うと、かごの中から一番大きなりんごを一つ取り出しました。そしてそのりんごを顔に近づけて匂ってみました。
取りたてのりんごはとてもみずみずしい甘い香りがいっぱいしました。
その時なぜかキャメルは、幸せな気持ちとちょっぴり切ない気持ちになりました。
それはキャメルが小さい頃、おかあさんとりんご取りにいって匂った時の甘い香りと同じだったからです。
優しいおかあさんの事を思い出したのです。
そしてキャメルにはアルベルトという名の可愛い弟もいたのです。「なぜおかあさんとアルベルトは私を残して家を出ていったの?」とキャメルは少し涙ぐんでおばあさんに尋ねました。
「元気に戻ってくるさ、実はねキャメル、コルマールという町におまえたちのお父さんが居るんだよ。父さんがこの家を出ていって何年経っても何の頼りもないんでね、母さんは幼いアルベルトを連れて、コルマールへ行ったんだよ。この村で生活するのは貧しくて楽じゃないんだよ、だからおまえの父さんや村の人々は、町へ働きに出て行ったんだよ。みんなが無事にに戻ってくるまでこの家で待つ事にしようよ。キャメルの大好きなこの木組みの家でね。キャメルはおばあちゃんと一緒だから大丈夫だよ。心の強い子だからね。さあおいしいアップルパイを作ろうかね」
とおばあさんは言うと、キャメルの持っていたりんごを取って家の中へ入っていきました。そしてキャメルもおばあさんの後からついていって、おばあさんの作るアップルパイのお手伝いをしました。
その夜、キャメルの家の窓からは、暖炉に火を灯した暖かい炎と、ランプの明かりの中でキャメルとおばあさんが楽しく食事をする姿が見えました。
八角形のテーブルの上には、ピンク色のテーブルクロスが掛けてあって、パンやアップルパイや*3ベックホーフの料理が彩りよく並んでいました。
|