男は白い箱へ、手を伸ばしました。3人のキャンディーたちは白い箱の中で並んであおむけになって目を閉じ、ぶるぶる震えていました。

美しい女の人

男は、白い箱の蓋を持ち上げようとしました。その時「アルフレッド!お客様よ!早くお相手してあげて!」と、美しい女の人の声がしました。「この白い箱の中から、怪しい声がしたんだ」男は、言いました。「箱の中?フフフそんな小さな箱の中に、ふつうの人間が入るわけないでしょう。さあ、早くお客様の所へいってちょうだい。私が白い箱の中を確かめておくわ」女の人は美しい声で言いました。男は洞窟の扉の方へ歩いていき、女の人に鍵とランプを渡し「洞窟の鍵を掛けるのを忘れるなよ」と言うと、急ぎ足で洞窟を出ていきました。

女の人は、ゆっくりと上品な靴音をたて洞窟の中へ入ってきました。そして白い箱の前までくると立ち止まり、白い美しい手を白い箱の上にのせました。そして白い箱の蓋がゆっくりと開けられた瞬間!「まあ、可愛いわ!赤いルビーに、緑のエメラルド、紫色のアメジストだわ!アルフレッドったら、こんな可愛い形の宝石を私にプレゼントしてくれたんだわ。フフフ私にびっくりさせようとして、白い箱を開けさせるなんてアルフレッドったら」女の人は嬉しそうに、赤いポムに手を伸ばし、ポムを持ち上げようとしました。「ひゃっ!くすぐったい!」ポムが目を開け叫びました。「きゃールビーが喋った!」女の人は、腰をぬかして洞窟の堅い石の上に座りこんでしまいました。

私たち3人の話を聞いて!

ミエルとグランも目を開け、ゆっくり起き上がり、3人は白い箱を出て腰高の棚の上から女の人を見降ろしました。
「あ、あなたたち何者なの?」女の人はびっくりして叫びました。「しーっお願い!静かにして!私たち魔法をかけられてキャンディーの姿になったままなの。早くあなたみたいな人間の姿に戻りたいわ。私たちスイスのバーゼル人なのよ」ポムが喋りました。「魔法ってどういう事なの?」女の人は、びっくりした顔で訪ねました。「丘の上に、お菓子のお城があるでしょう。あのお城は魔女のお城で、コルマールの町は魔女に占領されているはずなの。コルマールの人すべてマシュマロの姿にされているはずなんだけど」ポムが喋ると、グランが「今、何年何月?」と女の人に訪ねました。「今?今1790年よ」女の人は立ち上がってキャンディーたちを、まじまじと眺めながら言いました。

「大変だよ!ぼくたち100年後の世界にきたんだ!」ミエルが言いました。「魔女をさがしましょう。魔女はこの町のどこかに住んでいるはずよ。魔女に会って魔法を解いてもらうのよ。魔女は500才まで生きるって言ってたわ。今が100年後だったら魔女は400才。まだ生きてるわ」ポムが言うと、ミエルとグランがうなずきました。

女の人は、3人の話を聞いてるうちになんとかしてあげたい気持ちになりました。「何だか分からないけど、あなたたちが嘘を言っているようには思えないし、私あなたたちの力になってあげるわ。私カトリーヌって言うの。あなたたちの名前は?」「ポム」「ミエル」「グラン」3人が一斉に口をそろえて言うと、カトリーヌは笑いながら「確かに、赤いポムさん、りんごにそっくり!」ポムは、目をまんまるくしてカトリーヌを見つめました。「グランって、小さいのに大きいっていう名前?」カトリーヌは、もじもじしているグランに訪ねました。はずかしがりのグランは、顔を赤く染めてうつむきました。「ミエルは、ひょっとしてハチミツ大好き?」カトリーヌはミエルの頭を、チョコンと触れました。するとミエルはペコッとうなずきました。

魔女を、さがしにでかけよう!

「さあ、3人とも私のエプロンのポケットに入って!」カトリーヌが、エプロンのポケットを開いて棚に近付けました。3人のキャンディーたちは、ピョコピョコとポケットの中にもぐりこみました。「とにかく、その魔女とやらをさがさなきゃね」カトリーヌは、ポケットの上から3人のキャンディーたちを、暖かい美しい手のひらで包みました。
ポムがピョコピョコとポケットから顔を出して言いました。「魔女のお菓子屋っていう看板をさがせばいいわ。だって魔女は、いつも口癖のように言ってたの。ほんとはコルマールの町で魔女のお菓子屋っていう看板を出して仲良く人間と暮らすのが夢だって。魔女は悪者じゃなかったのよ。きっと寂しかったんだわ」

「分かったわ。何とかしてさがしてみましょう」カトリーヌは、3人のキャンディーたちを連れて洞窟の扉へ向かって歩きだしました。しなやかな上品な靴音がかん高く洞窟に鳴り響き、やがて扉から眩しい金色の太陽の光が洞窟の中を照らしました。やっと真っ暗やみの世界から抜け出る事ができた3人のキャンディーたち。カトリーヌは扉の外へ出ると、洞窟の鍵を掛けました。「外がこんなに眩しいなんて!」3人はポケットから顔を覗かせて、これからはじまる旅に心弾ませていました。


次号へ続く



好きな音楽を聴きながら読む芸術童話。クリスマス、バースデープレゼントにもどうぞ。カントリーファンに贈るヨーロッパを舞台とした、かわいい伽話。幸せを呼ぶ不思議な妖精プルグリムの世界へ行って主人公マーガレットと一緒に、物語を冒険しましょう。
四六判・上製・72頁 定価1,365円(税込)
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☆内容・挿し絵に感動されて、大阪日日新聞さん、宮崎日日新聞さんに取り上げていただきました。
文芸社http://www.bungeisha.co.jp/search/detail.php?bid=21973
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