「しばらくポケットの中にかくれていてね」カトリーヌは、ポケットの中に3人のキャンディーたちを入れ、暗い洞窟の中から表通りへと出てきました。カトリーヌは急ぎ足で、一件の小じんまりとした可愛らしい木組みの家に入ると、「アルフレッド!お客様は帰られたの?」と声をかけました。

「ああ、大きなダイヤの指輪が売れたよ。洞窟の鍵は忘れずにかけただろうね」さっき洞窟の中で聞いた男の声がしました。
「ええ、かけたわよ。アルフレッド、私今からお買い物に出かけるわ。今夜の食事は、あなたの大好きな(注)シュークルートにするわ」
カトリーヌは、可愛い茶色の篭を手に持ち、宝石店の奥から表通りへと出てきました「あそこにある運河の橋を渡ればすてきなお菓子屋さんが沢山あるの。魔女のお菓子屋さん見つかるといいわね」カトリーヌは、キャンディーたちが入っているポケットを、ポンと優しく手の平で触りました。「あなたの家、宝石を売っているお店だったのね」ポムがポケットから顔を出して言いました。するとミエルとグランもポケットから顔を覗かせ、3人は運河にかかる橋の向こうの町を眺めました。

「そうなの。主人は美しい宝石を見ると、すぐに買ってきて自分で好きな形に磨くのよ」カトリーヌは運河にかかる橋に向かって歩きながら、嬉しそうに自分の主人の話をしました。「あっ、あそこ見て!小さな女の子が一人で何をしているのかしら?」カトリーヌは橋のたもとで突然立ち止まり、指をさしました。見ると、運河の河岸すれすれの所にポツンと4、5才くらいの女の子が、河の流れをくいいるように見つめながら寂しそうに立っていました。女の子は次第に水面に体をのり出して、何か捜し物をしている様子でした。「大変だよ!河に落ちちゃうよ」グランがポケットから身をのり出して言いました。ミエルとポムもポケットから顔を突き出して心配そうに女の子を見つめました。
カトリーヌは、駆け足で河岸に降り、女の子に近付き女の子の肩を両手で強く包み込むようにして掴みました。
「河に落ちるわよ!一人で何をしているの?おうちの人は?おうちは近くなの?」カトリーヌが何度尋ねても、女の子は口を閉ざしたまま黙っていました。

「きっと迷子になったんだわ。おうちを一緒に捜しましょう」カトリーヌが女の子の手を取り、橋のたもとへ上がろうとしたその時、大きなどなり声が河の向こう岸から聞こえました。しばらくして一人の小綺麗な女の人が近付いてきました。そしてするどい目つきでカトリーヌをにらみつけながら「あなた!私の子供をどこへ連れていく気なの?ローラさあ早くこっちへいらっしゃい!」

(注)シュークルートは、アルザスの代表的な郷土料理で、発酵させた山盛りのキャベツの塩漬けのまわりに、ワインとブイヨンで長時間煮込ん牛肉や豚肉、ソーセージ、ハム、そしてじゃがいもを添えたもの

次号へ続く



好きな音楽を聴きながら読む芸術童話。クリスマス、バースデープレゼントにもどうぞ。カントリーファンに贈るヨーロッパを舞台とした、かわいい伽話。幸せを呼ぶ不思議な妖精プルグリムの世界へ行って主人公マーガレットと一緒に、物語を冒険しましょう。
四六判・上製・72頁 定価1,365円(税込)
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☆内容・挿し絵に感動されて、大阪日日新聞さん、宮崎日日新聞さんに取り上げていただきました。
文芸社http://www.bungeisha.co.jp/search/detail.php?bid=21973
東京都新宿区新宿1-10-1 TEL.03-5369-2299 FAX.03-5369-3066
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