「私の子供をどこへ連れていく気なの?さあ、ローラ早くこっちへいらっしゃい」駆け寄ってきた女の人は、カトリーヌをにらみつけながら女の子の腕を掴みました。そしてカトリーヌから奪い取るようにして女の子の腕を引っ張り、自分の方へ寄せ付けました。
「あなたがこの子のお母さんなのね!迷子になったのかもと思って、その子の、ローラちゃんていうのね。ローラちゃんのおうちを捜しにいくところだったの」と、カトリーヌが女の人に話をしている間に、女の子は母親の手をすり抜け、逃げるようにして河岸を走っていきました。「ローラ!お願い待って!」女の子の母親は目にいっぱい涙を浮かべ、女の子を追い駆け捕まえました。
「ローラ!お願いちゃんとママを見て!お口があるでしょ!どうして話してくれないの?1年も口を開かないなんて」ローラの母親は、ローラの腕を掴んだまま泣き崩れました。ローラは、母親の視線をさけてカトリーヌの方に顔を向けました。カトリーヌは茫然と立ちすくんでローラと母親を見つめていました。

突然ローラが、母親の手を振りほどいてカトリーヌの方へ駆け寄ってきました。ローラは、カトリーヌのポケットから顔を覗かせている3人のキャンディーたちを見て「可愛い!」とかすれた声で、とぎれとぎれに言いながらキャンディーたちを不思議そうにひとりひとり眺めました。しばらくして、ローラはポムをじっと見つめ、ポムの頭にそっと触りました。
「嘘!嘘でしょ!ローラが口を開くなんて信じられないわ!!1年以上も声を出さなかったローラが!」ローラの母親はおどろきの声を上げキャンディーたちに近付き、目を丸くして「よく出来たお人形だわ!生きているみたい!」とびっくりした顔で言いました。そして急にカトリーヌの手を取り握りしめて 「お願い!この動くお人形を私に譲って下さい!このお人形をローラのそばに置いてあげて!きっとローラは元のように話の出来る元気な子になるわ!」ローラの母親は、必死にカトリーヌに頼みました。
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