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「うあーん、うあーん」男の子は、大きな口を開けて思いっきり泣きさけびました。そして、ひと泣きすると、声を震わせて小さな声で話しはじめました。「僕、鉄棒のさかあがり出来ないんだ。そして、とびばこも、ボールなげも出来ない!どうして僕だけが出来ないの?」男の子は顔を上げ、悲しそうな表情で、おじいさんをみつめました。
「そうか、くやしくて、この森にきて、一気にあの大きな木に上ったんじゃな」おじいさんは、男の子の悲しそうな瞳を見つめて言いました。「うん、」男の子はうなずきました。「よし、わしがこの森で、出来る秘密を教えてやろう。きっと学校へ行くのが楽しくなるぞ」おじいさんは、目をキラキラ輝かせて男の子に語りかけました。「ほんと?」男の子は、目をパッチリ見開き、おじいさんを見つめました。「ああ、」おじいさんは優しく微笑みました。その時、林の中からガサガサ音がして、突然大きな緑熊が現れました。「ひゃー大きい熊!」3人のキャンディーたちは、びっくりしておじいさんの袖に身を隠しました。「やぁーチュチュのママ、久しぶりじゃな」おじいさんが声をかけました。
すると、大きな緑熊は「グーグー」と喉を鳴らし、2本の足で立って、のしのしと歩いてきました。おじいさんの背中に、しがみ付いていたチュチュが、嬉しそうに甘えた声で「チュウチュウ」と鳴きながらチュチュのママの腕に飛びのりました。
「おもしろい!こんどはチュチュウだって!ねずみの泣き声みたい!」3人のキャンディーたちは、テーブルの上で手をたたいて大笑いしました。
その時、チュチュのママが「グッグー」と泣いて、おじいさんに何やら話しかけていました。「何?おお、そうか!ありがとうチュチュのママ。さあ、みんなで出掛けるぞ!」とおじいさんは言うと、イスから立ち上がり、いちごの家の裏庭から、いちごの傘を持ってきました。するとチュチュのママは、4本の足で立ちました。チュチュが嬉しそうにチュチュのママの背中にのり、「チャッポ、ヤッポ」と体をゆらしました。おじいさんは、いちごの傘をパッと開いてチュチュのママの背中にくくり付け言いました。「さあ、これからチュチュのママが、熊ぐるまになってくれるぞ!みんなを森の散歩に連れていってくれるそうじゃ」おじいさんは熊ぐるまの背中にまたがり、男の子にむかって「さあ、ピーター、お乗り!」と声をかけました。「ピーター!」3人のキャンディーたちは、ピーターという名前を聞いてびっくりしました。
「そうじゃ、ピーターさ。わしの父の名と同じ名前じゃ。ピーターはきっと立派な男になるさ」おじいさんが、そう言った瞬間、ピーターは、勢いよく熊ぐるまに走り寄って、ピョンと、飛び乗りました。「びっくりだわ!急に元気になるなんて!さあ、私たちも早く乗りましょう」キャンディーたちは、あわてて熊ぐるまの足をよじ上って熊ぐるまの背中にのりました。「さあ、出発!」おじいさんの、かけ声で熊ぐるまは、ゆっくり進んでいきました。
熊ぐるまは、細い小道を、森の奥へと進んでいきました。
「さあ、これからがすごいぞ!」おじいさんが、そう言い終えたその時の事です。なんと熊ぐるまの4本の足が、まんまるのフワフワのタイヤに変わったのです。
熊ぐるまはフワッフワッとスキップしながら前へ進みました。まるで、フワフワの毛皮のクッションに座って、空を飛んでいるみたいです。
「うぁー、こんな車はじめてだよ!」思わずピーターが、大声でさけびました。「ほんと!フワフワの回転木熊みたい!」キャンディーたちも、大はしゃぎです。
やがて熊ぐるまは、緑の生い茂った森の奥へと入っていきました。「うぁー、緑のはっぱで、周りが全然見えないよ!」「緑のトンネルだ!」ピーターと、3人のキャンディーたちは、大声でさけびました。「さあ、もうすぐ川が見えるぞ!」おじいさんがそう言うと、木々の間からこもれ日が差して、サラサラサラと川のせせらぎが聞こえてきました。
「下の方に川が見えるわ!」ポムがさけびました。「ほんとだ!すごくきれいな川!あの川の水、飲めるの?」ピーターが、おじいさんに尋ねました。「ああ、あの川には、地下水、命の水が流れこんでおるんじゃ。川の水を飲めば元気になるぞ!」おじいさんが、そう答えると、「僕、川の水飲みたい!」ピーターが大きな声で言いました。やがて、熊ぐるまの足は、元の4本の足に戻り、ゆっくりと進んでいきました。すると眩しい光が差して、なだらかな野原の斜面の下に、大きな川が現れました。「ひゃーいい眺め!」「澄みきった青い空に、澄んだ川の水、それに若葉がすがすがしいね!」グランが、ゆっくりした口調で言いました。「さあ、川へ降りて、おいしい水をいただくか」おじいさんがそう言うと、チュチュが「チュッチュー」と鳴いて、熊ぐるまは静かにとまりました。
おじいさんは、熊ぐるまから降りて川を見下ろしました。キャンディーたちもピョコピョコ熊ぐるまの足を伝って地面におりました。
「おじいさん、この川の事でしょ!この川に、出来る秘密が隠れているんでしょ!」ピーターは、川の流れをじっと見つめ嬉しそうに言うと、熊ぐるまから降りて、一気に川へ向かって、野原の斜面を降りていきました。それから、ピーターは、両手で川の水をバシャバシャ顔にかけて、両手で川の水をすくってゴックンゴックンと飲みました。
「ピーターが!」突然ポムが指を差しました。なんと!ピーターは川の中へ入り、はしゃぎながら、川底の深い方へ足を向けました。「ピーター、川に流されるぞ!強くなりたい気持ちは分かるが、むちゃな事をすると、何でも失敗するんだ」おじいさんは顔色を変え、あわてて野原の斜面を降りていきました。キャンディーたちも、急いで野原の斜面を、コロコロ前転で転がりながら降りていきました。
「フー、目がくるくる回っちゃった!」キャンディーたちが川岸にたどり着いたその時、「おじいさん、助けてー!」ピーターのさけぶ声が聞こえました。
好きな音楽を聴きながら読む芸術童話。クリスマス、バースデープレゼントにもどうぞ。カントリーファンに贈るヨーロッパを舞台とした、かわいい伽話。幸せを呼ぶ不思議な妖精プルグリムの世界へ行って主人公マーガレットと一緒に、物語を冒険しましょう。

☆内容・挿し絵に感動されて、大阪日日新聞さん、宮崎日日新聞さんに取り上げていただきました。
http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/4-8355-8095-8.jsp