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「助けてーおじいさん!」ピーターの声が聞こえました。
キャンディーたちは、急いで川岸にある岩によじ上ってみました。すると、川の真ん中ほどにある細長い水草のはっぱを両手で掴み、川の流れに体が揺らいでいるピーターの姿が見えました。
「よし、今助けにいくぞ!」おじいさんの声が山々に響き渡り、バシャンと川へ足を踏み入れる音がしました。
「おじいさん!ちょっと待って!」ポムのさけぶ声がしました。おじいさんは立ちどまりピーターの姿を目にしました。「おお、何と!」「信じられないよ!」おじいさんとキャンディーたちは、驚きの声を上げピーターを見つめました。なんと、ピーターは川の流れに逆らって泳ぎはじめたのです。「ピーター頑張って!」「頑張れ!ゴールは近いぞ!」「さか泳ぎなんて、さかあがりよりすごいよ!」キャンディーたちは、岩の上から手を振って声援をおくりました。
するとピーターは、力いっぱい川の水をかき分けて泳ぎ出し、ついに岸へたどり着きました。「ピーターよく頑張ったね!」キャンディーたちは、ピーターの元へ走り寄って手を差しのべました。「赤、緑、紫の丸い玉が見えたんだ!そしたら急に力が湧いてきたんだ!」ピーターは「はーはー」と息をきらして岸辺の岩を掴み、見上げて言いました。
「ピーター大丈夫か?よく頑張った!しかし、もうむちゃな事はするんじゃないぞ!」おじいさんは、弱った足を引きずるようにしてピーターの元へやってきました。そしてピーターの腕を掴み、岸辺へピーターの体を引きずり上げました。
「おじいさん、ごめんなさい!」ピーターは、おじいさんにしがみ付いて泣きじゃくりました。おじいさんも目に涙をためて「無事でよかった!」とピーターの頭を撫でながら、声を詰まらせ言いました。
「出来る秘密ってこの川にあるの?」ピーターが顔を上げ、おじいさんに尋ねました。
「出来る秘密は、素直に力いっぱい頑張る事さ!素直に自分を信じる心と、勇気を与えてくれたのは、この森、自然の力なんじゃ!しかし、ピーターは自分の力で、森の宝物を掴み取ったんじゃ!さあ、あそこにある岩を飛び越えてみろ!飛び越えれるぞ!」おじいさんは、大きな岩を指差しました。
ピーターはすごい勢いで走り出しました。そして思いっきり足を開き飛びました。「飛べた!」川岸にそよぐ初夏を思わせるような暖かい風に吹かれて、ピーターのシャツやズボンは、すっかり渇いていました。
「やったね!」「ピーター、森からすごい宝物もらったわね!」「さか泳ぎ出来たんだもの。とびばこなんて、もうこわくなんかないよね!」キャンディーたちは、手をパチパチたたきながら、少し離れた岩の上に腰掛け、おじいさんと一緒にピーターを、優しい眼差しで見つめていました。ピーターは、満足したような顔で、にこにこしながら岩の前に立ち、両手を挙げて着地の姿勢を崩さず、おじいさんとキャンディーたちの方を見ていました。
「ピーター!今度は、あの大きな木に上ってみろ!」おじいさんが、太い枝が少したれ下がった大きな木を指差しました。
ピーターは、いちもくさんに大きな木のほうへ掛けていきました。「危ないから、あまり高く上るんじゃないぞ!」おじいさんの掛け声が森にこだましました。
「おじいさんの生きがい、見つかったわね!」ポムが、おじいさんの耳元で言いました。「ああ、この森で子供たちを元気にしよう!それが、わしの父の望みだ!それに、わしの残された仕事かもしれん」「おじいさん、きっと子供たちの人気者になるよ」「そうだよ、だって、おじいさん優しいもん」ミエルとグランが囁きました。
「しかし、わしは一度、女の子に申し分けない事をしてしまった」おじいさんは、遠くの森の木々を眺めながら、話しはじめました。
「わしが、この森へ住むようになって、森の入り口に、白い看板を立て掛けたんじゃ。すると、数日後、白い看板の近くに、赤いマントをはおった可愛らしい女の子が倒れておったんじゃ。そのキャメル※1という名の女の子は、リクヴィールからコルマールへ向かう途中に、この森へやってきたんじゃ」
「キャメル!」キャンディーたちは、口を揃えてさけびました。
好きな音楽を聴きながら読む芸術童話。クリスマス、バースデープレゼントにもどうぞ。カントリーファンに贈るヨーロッパを舞台とした、かわいい伽話。幸せを呼ぶ不思議な妖精プルグリムの世界へ行って主人公マーガレットと一緒に、物語を冒険しましょう。

☆内容・挿し絵に感動されて、大阪日日新聞さん、宮崎日日新聞さんに取り上げていただきました。
http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/4-8355-8095-8.jsp