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午後3時の鐘の音が、遠くの教会から聞こえてきました、
「やったぞ!出来た!」若者がさけびました。
「さあ、この時計をガラス戸の外側に掛けて!」ポムが言いました。若者は、大きな時計をガラス戸の外に掛けました。
「さあ、ミエル、グラン、用意はいい?」「いいよ!」「準備OK!」午後3時半を過ぎる頃、時計屋の道筋は買い物客で賑わってきました。
「あれ!見て!変よ!」「ほんと!ハハハハ」いつの間にか時計屋の店の前には、沢山の人集りが出来ていました。
「ボンボンボンボン」「4時だよ!」「もうすぐ夕御飯、早く帰ろう」時計屋のガラス戸に掛けられた大きな時計から、キャンディーたちの声が聞こえてきます。振り子はポム、短い針はミエル、長い針はグラン、3人は時計の針や振り子を手で動かしながら1分ごとに喋り続けました。
「ボンボンボンボン、チッ」「只今4時1分」「ママは買い物、僕お留守番」「ボンボンボンボン、チッチッチッチッチッ」「ちょうど4時5分」「パパお帰り!今日のおかずはママなあに?」「ボンボンボンボン、チッチッチッチッチッチッ」「只今4時6分」「パパごめんなさい、まだパンが焼けてない!」
沢山の人々がガラス戸を開け、時計屋の店内に入ってきました。「あんなに喋る時計なんて見た事ないわ!あなたの時計がほしいわ!」「私もいただくわ!家の時計が古くさいの。そこの壁に掛けてある時計に替えるわ!」壁に掛けてある時計が、わずか5分の間に全部売り切れました。
「バンザーイ!」若者とキャンディーたちは大喜びで何度も「バンザーイ、バンザーイ」とさけびました。
「ありがとう!ボンボンちゃんたち!今月中に、50個もつくってほしいって注文があったよ、がんばるぞ!」若者はすっかり元気を取り戻してキラキラ輝いていました。
「さてボンボンちゃんたち、遅くなったね!君たちをキャメルのりんごの丘の家まで連れていってあげよう!」若者は、手のひらにキャンディーたちをのせると、青い作業着のエプロンのポケットの中へキャンディーたちを入れました。
「やったー!」「いよいよ会えるんだね!」「ワクワクドキドキするよ!」キャンディーたちは、ポケットの中へもぐり込みました。
若者は店を閉め、春の夕暮れの穏やかで柔らかな日差しを受けながら歩きはじめました。「あら、時計屋さんお出かけ?めずらしいわね、ずいぶん顔色いいじゃない!何かいい事あったの?」「今日はとってもいい気分なんだ!時計がとぶように売れたんだ!」「すごいわ!きっとそれは天使たちの仕業よ!」「そ、そうなんだよ、3人の天使たちが降りてきたんだ!」「3人の天使?」「いや、別に何もないよ、いけない!急いでるんだ、じゃあね!」「3人の天使たちによろしくね!なんだか時計がほしくなっちゃったわ、明日お店におじゃましてみようかしら」
キャンディーたちはポケットの中で、人々の話し声や馬車の車輪の音や馬のひずめの音を耳にしながら、いつの間にか、すやすや眠りの中へ入っていました。しばらくして「さあ、着いたぞ!3人のキャンディーちゃんたち出ておいで!」若者の声が、夢の中でこだましました。3人のキャンディーたちは、びっくりして飛び起き、ポケットの中からそっと顔を出してみました。するとそこには若草色に覆われた、りんごの丘が目の前にくっきりと見え、丘の頂上から駆け降りてくる、なつかしいキャメルの姿が女神のようにキャンディーたちの目に入りました。「キャメル!無事にリクヴィールへ帰れたのね!」「キャメル!すごいよ!魔女を改心させたんだもんね!」「キャメル!僕たちの事覚えてるよね!」3人のキャンディーたちは、興奮して慌ててポケットから転がり落ち、地面をコロコロ転がりながらキャメルに近付いてきました。その時、後ろの方で「慌てちゃだめだよ!あれ!こんなとこにオレンジ色のクローバーが3つ!」若者の声がかすかに聞こえました。
その時の事!キャンディーたちの前方に、ふわっとオレンジ色の霧が立ちこめました。するとキャンディーたちの姿がだんだん人間の形に変わりはじめました。ミエル、グラン、ポムの3人は、お互いの姿を確かめ合うと、涙を流しながら喜び、抱きしめ合いました。「やっと元に戻れたわ!」「これ以上の幸せはないよ!」「人間である事に感謝!」と、その時、ポムがミエルとグランの後ろの方を指差しました。ミエルとグランが後ろを振り向くと、なんとそこには、20才くらいの娘に成長したキャメルの姿があって、キャメルの目の前には、まっ黒のマントと大きな手が!びっくりしたキャメルは「あなたは?」と尋ねました。すると、その大きな手は小さな手に変わり、プルグリムの姿になりました。「プルグリム!やっと会えた!」キャメルの嬉しそうな声が、リクヴィールの野山に響き渡りました。

「キャメル!」ポムがキャメルに向かって呼びかけました。
キャメルは振り返り、にっこり微笑んで「あなたたち、お城で見張り番をしていたキャンディーさんたちでしょ!」「キャメル、どうしてわかったの?」人間に戻ったポム、ミエル、グランの3人はびっくりしました。
「だって、3人ともキャンディーさんたちそっくり!実はキャンディーさんたちをずっと探してたの!なぜか今日ここで会えるようなような気がしたわ!」キャメルはそう言うと「プルグリム!りんごの丘の上で毎日祈っていたのよ!プルグリムに会えますようにって!それにキャンディーさんたちが無事にスイスへ帰れますようにって必死に祈ったの!願いがかなったのよ!」と言いました。「そうだったんだ!キャメルの祈りで僕たち助かったんだね!」「ありがとうキャメル!そして願いを叶えてくれてありがとうプルグリム!」ミエル、グラン、ポムはキャメルに近寄りキャメルとプルグリムにお礼をいいました。プルグリムはにっこり微笑み、みんなに語りかけました。「君たちが幸せになったのは、アルザスクローバーのおかげなんだよ!」
「やっぱり!アルザスクローバーのおかげだったんだね!幸せのアルザスクローバー、バンザーイ!」ミエル、グラン、ポム、そしてキャメルは一斉に両手を挙げ、オレンジ色のクローバーに感謝しました。「バンザーイ!」
いつも連載を読んでいただきましてありがとうございます。
いよいよ12月から第3作目『秘密の鍵(プルグリムとバラの花の妖精)』がはじまります。
イギリス、コッツウォルズを舞台に、美少年レオとバラの花の妖精ローズの神秘的で美しい物語。どうぞ、お楽しみに〜
あかまつようこ
好きな音楽を聴きながら読む芸術童話。クリスマス、バースデープレゼントにもどうぞ。カントリーファンに贈るヨーロッパを舞台とした、かわいい伽話。幸せを呼ぶ不思議な妖精プルグリムの世界へ行って主人公マーガレットと一緒に、物語を冒険しましょう。

☆内容・挿し絵に感動されて、大阪日日新聞さん、宮崎日日新聞さんに取り上げていただきました。
http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/4-8355-8095-8.jsp