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新連載開始!! |
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かん高い声で喋る 男の子
「同じ年くらいの男の子だわ!こっちへやってくる!てっきり真っ黒の兵士がやってきたと……。ふぅーっ」ローズが、ほっと胸を撫で下ろしました。
「ト、トマスだよ!さっき話してた授業さぼって裏山へ一緒に探検に行った子!」
「えっ、そうなの!」ローズが驚いた顔でレオを見つめました。
レオはうつむいてトボトボ歩いてくるトマスの姿を見つめながら、小さな声で呟きました。
「そうだ!思い出したぞ!あの時、授業はさぼってなかったんだ!休憩時間に裏山へいったんだ……。」
レオの頭の中に、トマスと裏山へいった日の事が甦り……、「裏山の池に、トマスが落ちて、溺れそうになって、だから次の授業に間に合わなかったんだよ!今、思い出したぞ!ハハ」
「トマス、おまえ、何処へいってたんだよ!まさか、ロンドンから歩いてきた?そうなのか!」
レオは両手を振りながら、大声で男の子に呼びかけました。男の子は立ち止まり、顔を上げこっちを向いて、驚いて左手を振りながら、思いっきりニコッと笑みを浮かべました。
イギリスの国旗のワッペンが目立つ緑色の上着に、きっちりとネクタイを締め、それに何よりも下がった太い眉毛が、男の子の愛嬌ある雰囲気をかもしだしていました。
「レオ!あー、もうびっくりだよ!レオこそどうしてここに居るのさ」男の子は、かん高い声を張り上げ、駆け寄ってきてレオの腕を掴んで、縦に大きく揺り動かしました。
「女の子みたい!」
ローズが、いきなり大声で笑いそうになり、笑いをこらえ、うぷっと吹き出しました。
「あー、ちょっと事情があってさ、トマス、ひょっとしてこっちに疎開してたのか?」
「うん、レオもこっちの親戚の家に?あー、そっちの女の子、親戚の子なんだね」
トマスがローズの方へ視線を移すと、ローズはトマスの斜め目線で見つめる上品ともいうべき仕草に受けて、笑いをこらえながら、真っ赤な顔をして頬を膨らませ、ついに「ハハハハ」と声を出して笑い出しました。
「いや、違うよ、妖精さ、バラの妖精だよ」レオが何気なく言うと、トマスはびっくりした目でローズの体を、頭からつま先までジロジロ見つめました。
「嘘、嘘だろ!はぁーっそうか、君達、村の仮装行列にでも参加するんだろ!」
トマスは、レオとローズの姿を怪し気な目で見つめました。
「いや、その、僕達、この花屋敷に用事があるんだ」
「えっ、僕もこの屋敷に用事があるんだよ」
「えっ、トマスも?何でだよ!なぁー、ちょっとトマス、こっちへこいよ」
レオはいきなりトマスの腕を引っ張って、生け垣の方へ連れていき、ひそひそと話をしました。
一人取り残されたローズは、急に笑うのをやめ、真顔になり、茫然と二人を眺め、寂しそうに黒い石の上に再び腰掛けて、うつむいたまま動こうとしませんでした。
最強の、炎の3人組
しばらくしてレオとトマスがローズの目の前にやってきて、黒い石に腰掛けているローズを見下ろしました。トマスが両手に握りこぶしをつくり、いきなり鋭い目付きで、怒鳴る様に喋りました。
「君の事、君の言ってる事って、ほんとのほんとなの?レオから全部、話聞いたよ。今朝、僕宛に手紙が届いたんだ、君の花屋敷から届いたんだよ。差し出し人の名前は書いてなかったけど、伯父さんや、伯母さんがこの花屋敷に居るって書いてあったんだ。実は、伯父さんと伯母さんが数日前、消えちゃったんだ。あの日、僕は庭の草むしりしてて家にいなかったんだ。家に戻ってみると、家には伯父さんも伯母さんもメイドも居なくなっていた。慌てて家の外へ出てみると、真っ黒い兵士が門の外をうろついていた」
トマスの目から涙があふれ、トマスは次第に声を震わせ、
「僕の父さんは、空軍で戦死したんだ。母さんも戦争で亡くなった……。伯父さんと伯母さん、無事なの?真っ黒の兵士って?」トマスは涙を手で拭い、大きく息を吐きました。
ローズは、じっとトマスの顔を見つめ、立ち上がってトマスに右手を差し出しました。
「私、ローズ、ブリンテン、13才よ」トマスは急に緊張して「あ、あの、僕トマス・オースティン、宜しく」と、震える右手を差し出し「つい、興奮して喋っちゃった!君の事、傷付けちゃったかな?」とローズと握手を交わしました。
ローズは、トマスに微笑み、首を横に振ると、レオとトマスの前で頭を下げました。
「ほんとうにごめんなさい。真っ黒の兵士が他の人も連れ去っていったなんて、私、真っ黒の兵士の事ほんとうに知らないの。鍵だって、何の鍵だったのか覚えていなくて…。」ローズは困り果てて黙り込んでしまいました。
レオがトマスの両肩を掴んで大声で言いました。
「ひょっとして、トマス!真っ黒の兵士が連れ去ったのは、僕の家族と、お前の伯父さんとこだけかもしれないぞ!ここに僕達3人集まる事になってるんだよ!きっと鍵は3人で開ける事になってるんだよ!」
「トマス!屋敷へ入って伯父さんと伯母さんを助けるんだ!」
トマスは、しばらく黙っていましたが、両手に握りこぶしをつくり、口を開きました。
「伯父さんと伯母さんと会う為に、ここへやってきたんだ、引き返せないよ。僕も君達についていく」
「そ、そうよ!母は、トマスの事は何も話してなかったけど、トマス宛に手紙が届いたっていう事は、きっと私達3人の力が必要なのよ!」
3人はその時、必然的な出会いを感じとり、自然に顔を見合わせ、「ハハハハ」「ハハ」「ハハハ」と笑いました。
「ねぇ、あの大きな木!」
ローズがキラキラした笑顔で草原にそびえ立つ大木を指差し、草原へ向かって走っていきました。
あの独特の黄緑色の葉が生い茂った大木の木の下にローズは立ち、キラキラと風に揺れる木漏れ日を浴びながら、右手を前に出し
「私達3人、互いに力を合わせ、秘密の扉を探し出し、どんな困難にも打ち勝ち、必ず扉を開ける事を誓います!」と、男の子みたいな低い力強い声を出し、宣言しました。
「ローズって、ほんとは男の子じゃないの」
「そうかもね」
レオとトマスは笑いながら大木に向かって走っていき、レオがローズの右手の上に右手を、トマスがレオの右手の上に右手を重ねました。そしてレオとトマスの2人が同時に
「はい、誓います!」
と締めると、3人の手のひらから金色の閃光がバチッバチッと放ちました。
「すげぇ!」
「すごい威力!」
「絶対、勝利は僕達のものだね!」3人は両手を上げ、手をつなぎ、微笑み合いました。
「最強の炎の3人組っていうのどう?」
「そんな強い事、言って大丈夫なの?」トマスが不安な面持ちでレオを見つめました。
「いい、いいわよ!私達が、これから体験する事は、一生、忘れられない燃え上がる様な、青春の思い出になるかもしれないのよ!無事に助かればの話だけどねハハハ」
「どっちにしろ進まなきゃならないんだしさ、だったら炎の3人組でいいよ!何となく勝てそうな気がしてきた!」トマスがにっこり微笑みました。
「よし、最強の炎の3人組、いくぞ!」
レオが仕切り、3人は花屋敷へ…。
と、いきなりトマスがレオの服を引っ張りました。
「やっぱり、僕ドキドキするよ。だって、いろんな妖精が潜んでいるんだろ?」トマスは自分が小心者で、運動もにがてな方だと思っているので、うまくゴールに辿り着けるかどうか自信がなく、がたがた震えました。
「昔、中世の時代にさ、罪の無い老婆が魔女狩りにあっただろう!人に恨みを持ち、かぎ鼻の魔女ハッグに生まれ変わったっていう、うわさも聞いた事あるよ。ハッグって人間を食べちゃうんだよ!」
「トマス、お、おどかすなよ!おまえ、そういう知識だけは豊富なんだからさ。悪い妖精だけじゃないさ」
「何ぶつぶつ言ってるの?さあ、早く!ここから母屋まで4キロあるのよ!28個の庭の部屋を通り抜けなきゃならないわ」
ローズが、青い鉄の扉の前でさけびました。
「えっ、館まで4キロ?」
「気が遠くなっちゃうよ……。」レオとトマスは急ぎ足で大木を離れ、青い門扉に向かいました。
その時、
「カチャッ」
ローズが門の鉄柵の間に右手を入れ、門の内側にある施錠をはずしました。
「ギッ、ギッ、ギーッ」
堅く閉ざされた青い門扉は、来客を拒むかのような音を立て、開きました
次号へ続く〜お楽しみに
好きな音楽を聴きながら読む芸術童話。クリスマス、バースデープレゼントにもどうぞ。カントリーファンに贈るヨーロッパを舞台とした、かわいい伽話。幸せを呼ぶ不思議な妖精プルグリムの世界へ行って主人公マーガレットと一緒に、物語を冒険しましょう。

☆内容・挿し絵に感動されて、大阪日日新聞さん、宮崎日日新聞さんに取り上げていただきました。
http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/4-8355-8095-8.jsp