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■□地震災害のお見舞い□■
この度の地震により被災さました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
レオ・ローズ・トマスの炎の三人組の勇気と力を皆さまに届けながら、一日も早く被災されました方々の心の平穏と回復をお祈り申しあげます。
あかまつ ようこ
新連載開始!!
今回は第2次世界大戦後のロンドン(イギリス)を舞台としたお話。空襲をうけ荒廃した町に、ひとり寂しげな少年が一つの鍵を手に……。
主な登場人物
ローズ・ブリンテン
(バラの花の妖精)
レオ・スティーブンス
(ロンドン郊外に住む美少年)
トマス・オースティン
(レオの友人)
フランセス・キプリング
(乳母)
アーニャ・キプリング
(フランセスの娘)
その他 様々な妖精達・音楽 エルガー作曲交響曲第一番
- 注:ローレンス・ジョンストン
- 彼は、ボーア戦争と第一次世界大戦と、2度も戦場へ駆り出され心に深い傷を負い、心の行き場を失なってしまいました。1907年から40年間、母親と2人で、この花屋敷に暮らし・・・、俗世間から離れてヒドコートマナーガーデンの中に隠り・・・花々を通して現代の私達にメッセージを送り続けています。
コッツウォルズへ旅立つレオ
レオは、フルートの入ったケースとトランク1つを片手に持ち自宅の白い門の所で家族と別れの挨拶を交わしました。
「父さん、多分、僕は数年後に政治家になってるかもしれないよ」
「父さんは、レオの頑張る事に反対はしない!いつでも応援しているぞ!」
「お兄ちゃん、私も、お屋敷に遊びにいっていい?」
「ああ、夏休みにおいでよ、友達沢山、連れてきていいよ、数えきれないほど泊まる部屋があるからね」
「レオ、ローズやトマスに宜しくね」
「母さん、ローズとトマスは、あの世界の事を覚えているかな?すっごいさ、不安なんだ・・・」
「大丈夫よ、2人とも炎を燃やしてレオを待っているわよ」
「レオ、気を付けていくんだぞ、もしブラッククラウドに、やられそうになったら今度は父さんがレオを助けにいくからな」
「父さん、もうブラッククラウドの生き物なんて現れないよ、じゃあ、いってくるよ」 「お兄ちゃん、元気でね!」
レオは家族に手を振り、駅に向かって歩きはじめました。十字路を過ぎ、教会を通り過ぎた所で駅の建物が見えました。
「急がなきゃ列車がくる!」
レオは腕時計を見て慌てて駅に向かって駆けていき、駅のホームに駆け上がりました!列車のベルが鳴り響き・・・、ポーッ!と汽笛を耳にした、その時!向かい側のホームに立たずむ、ずんぐり、むっくりとした中年の女の人の姿が目に入りました!
「あの、おばさん、教会で僕に鍵をくれた、おばさんだ・・・」
ずんぐり、むっくりとした、おばさんはレオの方を見てニッコリ微笑むと右手をレオに振りました。レオは動きはじめた列車に飛び乗って向かい側のホームの見える席に座り列車の窓を開けて上体を窓の外へ乗り出して叫びました。
「おばさん、この赤い鍵、本物の魔法の鍵だったよ!おばさんの言った通り信じられない事が起こったよ!おばさん、もしかして魔女なの?」
すると・・・、おばさんの横に、あの花屋敷で出会った生き物達がズラリと一列に並んで手を振っていました!
「あっ、あれはキキーモラだ!ケットシーや黄金の鳥もいるよ・・・」
その時、レオの目に幻影が映って見えているのか?・・・それとも、実際に妖精達が、この現実の世界に現れてレオの門出を総出で祝ってくれているのか?・・・、レオ自身にも分かりませんでした。列車は、ゆっくりと駅を離れていき・・・次第に妖精達の姿は消えていきました。
「妖精達の姿は消えたけどさ、おばさんだけは、いつまでも僕の方を見て手を振っていた・・・あの、おばさん、ローズの家族の誰かと関係ある人なんだろうか?・・・それにしてもさ、赤い鍵の主の家宝って一体、何だったんだろう?ローズが言ってたアーニャに話しておくべき事って?・・・」
レオは、列車の窓を閉め頭の中で色々と赤い鍵の秘密について憶測を巡らせながら目を閉じて・・・うとうとと眠りました。 列車は白い煙りを吐きながら進み・・・、牧草地帯の間を通り抜けてストラットフォード・アポン・エイウォン駅に到着しました。 列車が、ガタンと停車する音にビックリして目を覚まし慌てて駅に降り、この町に住んでいる大きな屋敷のトマスの叔父さんの家を尋ねました。しかしトマスの叔父さんの家の門は、鍵が掛かっていて、門から中の屋敷を覗いてもひっそりとして・・・。 庭を歩き回る使用人もなく、人の気配さえ感じる事が出来ずレオは、その場を立ち去りました。誰も居る様子がありませんでした。トマスの消息が掴めないままレオはローズの屋敷へと足を向けました。 穏やかな緑一色の草原の丘陵地帯のミケルトゥン村をレオは独り歩きながら妖精ローズと、この地に舞い降りてきた、あの日の事を思い出していました。上空を吹く風の匂いと違って土の香りのする側道からエバーグリーンの草原を横切り・・・そして小高い丘の上に立つとレオは叫びました!
「やったぞ!花屋敷だ!」
レオの目の前に、あの時と、同じ景色が広がっていました。何処までも続くイチイの木の生け垣・・・、そして堂々と威厳を放った青い鉄格子の扉!しかし、レオの足は門の方へは向かいませんでした。レオは門の近くに、高く、そびえ立つ1本の木に向かって走り出したのです!レオは大木に近付くと黄緑色の葉を付けた枝を掻き分けながら木の中に入っていきました。そして手に持った荷物を地面に下ろしました。
「この場所は、僕達の炎の3人組が誕生した場所だ!」
レオは、あの時と同じ様に右手を差し出して呟きました。
「僕達は炎の3人組になる事を誓います・・・」
レオは独り思いにふけってニンマリ微笑み見上げました。
「そ、そういえば・・・この木の葉っぱと、そっくりの葉っぱを見た事がある・・・教会の広場に落ちてきた、そうだ、あの時も、そう言ったんだ!教会の広場で、ずんぐり、むっくりとした、おばさんと見たんだ・・・まさか、ここからロンドンまで葉っぱが飛ぶわけないよな!」
葉っぱに気を取られて、ぼんやり立ちすくんでいたレオは、慌てて荷物を持ち上げて木の枝を掻き上げ向こうに見える巨大な屋敷・・・花屋敷を眺めました。
「あの青い門は、あの時と同じ様に入る者を拒むかの様に堅く閉じている・・・入るのが怖い・・・怖いよ」
レオは悪い想像ばかりに気持ちが傾き・・・、もしかして人間に戻ったローズは貴族の館の主人にふさわしい気位の高い人格に変わってしまって一般市民の僕なんか受け入れてはくれないかもしれないと思ったりして弱気になり・・・足が門の方へは、なかなか進みませんでした。でも、ハッキリ確かめないと気がすまないレオの性格・・・、その内、レオは気持ちとは反対に一気に門の前にある階段を駆け上がっていました。レオは、青い門の前に荷物を置いて青い鉄格子に両手を置き、門の内側を覗き込みました。
「施錠がかけられてない!」
レオは、一瞬で体中が熱くなるのを感じました。
「ローズは噴水の所で僕を待っているに違いない!」
そう確信したレオの心は喜びに震え激しい鼓動を打ちはじめ踊り出して・・・荷物を勢いよく持ち上げていました。そしてレオは門を体全体で押し開けて白いバラのアーチの中を疾走していきました!
「車椅子生活だったローズは歩ける様になったのか?噴水の庭にいるローズは、赤い服を着ているのか?それとも黄色?」
父に貰った茶色の格子のスーツで身を包んだレオは走りながら自分の全身をポケットに入っていた手鏡に映し出し鏡を持った手で服や髪を整えました。暫くすると曲がりくねった白バラのアーチの先に噴水と花壇が小さく見えてきました。レオは急に立ちどまって手鏡をポケットへ終い、茫然とアーチの見える噴水を見つめ、ローズの姿を探しました。
「ローズの姿がない!確か、ローズは噴水の所で、いや、噴水の前でずーっと僕を待っているからって言ってたはずだよな・・・現実に戻って、今日で3日目・・・そんな3日も、ずっと立ってる分けないか・・・」
レオの心の中に再び不安の渦が巻いていました。
「噴水の水はチョロチョロだよな、もしかして、近付いたら一気に噴水の水が吹き出して、『レオ、驚いた?』なんて生け垣に隠れていたローズが現れるなんて事ないよな・・・」
レオは不安な気持ちを引きずる様にして・・・歩きはじめ・・・、白いバラのアーチを抜け出ました。
「あー、やっぱり噴水の水はチョロチョロだし、誰もいない!」
数メートル先の噴水と噴水の回りの赤い花のアリュームの花壇を目にしてローズが噴水の庭にいない事を知ったレオはガックリと肩の力を落としました。
いよいよ物語はこれから最終章へ入っていきますが、残念ながら、ネットでは、この続きは、ご覧になれません。
1月1日出版の秘密の鍵の本にて、ご覧下さい。レオはローズと会う事が出来るのでしょうか?
トマスは、どうしているのでしょうか?
とても気になるところです!
秘密の鍵の本は、ネット又は本屋さんで〜是非、お買い求め下さいます様に〜お願いします。尚、次回から、続編ジュースとブランデー人形物語を、お送りします。お楽しみに
〜
作者から一言
※秘密の鍵の舞台となったコッツオォルズにあるヒドコート・マナーガーデン
実際、この屋敷のマナーハウスに暮らし、花づくりに没頭した一人のアメリカ人(注)兵士がいたのです。彼の心の中の戦争による打撃は一生消える事はありませんでした。傷付いた心を癒す為に懸命に植え続けた彼の草花には、いつしか花の神が宿り、絶えず私達に語りかけています。
『そこにいる、あなた!花を愛でる、あなたに怖い戦争なんて出来るはずがないわ!もし、もう一人のあなたでない魂が、そうさせるなら、自己欲の種黒い種を捨てなさい!』
ウイリアム王子の結婚により英国のイメージが刷新!今や、イギリス王室は開かれた王室の扉・・・そして昔の王公貴族のマナーハウスやマナーガーデンも、国民へと扉が開かれているのです。現在、ヒドコート・マナーガーデンは、ナショナルトラストの保護を受けて一般公開されています。
英国式庭園の華(花屋敷)として人々の心を癒やし続けているのです。英、ナショナルトラストでは、もう一度、1907年にアメリカ兵士が手掛けた昔のままの庭に甦らせ様と2億円をかけて庭を改修し、2012年に完成するつもりでいます。
2012年に、ヒドコート・マナーガーデンが甦り・・・、この花屋敷の物語が同じ年に出版されるという事は、単なる偶然ではない気がします。
一人のアメリカ人兵士の悲痛な叫びが、私にこの物語を書かせたのかもしれません!(私は、改修される事を後に知ったのですから)
彼は常にこう叫んでいます。災害や、戦争を恐れない魂は、この世の生き物ではない!
※彼は、今、戦争というブラッククラウドの無いこの花屋敷で世界平和に向けての会議が取り行ってほしいと、強く願っていると思います。



